記憶に残るホテルや、旅先での体験、お土産、忘れられない味などなど・・・。旅にまつわるさまざまな思い出をほぼ毎日更新。本日は、フォトグラファーのKana Kurataによる、旅先での思い出に残る体験について。
旅とホテルのミニコラム:日常に旅の余韻とヒントを。
12.04
Thu 2025

Kana Kurata
フォトグラファー

2023年12月、Fuji Textile Weekという布の芸術祭を観に、一人旅で富士吉田市を訪れた。レトロなまちなみに新しいお店が点在し、地元の方の生活の中に海外の観光客が行き交うまちだった。
宿泊は古民家をリノベーションした内装が素敵なSaruya Hostelへ。

FabCafe Fujiにてモーニング。海外客も多い。洗練されたカフェが一つあるだけでまちの印象が活気付いて見えるから不思議だ。

三益食堂は戸を開けた瞬間、おばあちゃん家で、本当にお店?と疑った。それでいて本当におばあちゃんがワンオペで切り盛りしている。中東系?の女性が一人で、こたつに入ってうどんをすすっていたのがシュールすぎた。私も小部屋に案内されてこたつで食べた。

温泉につかりたいと思って行ってみたものの、辿り着くまでの道中が心細すぎて怖いし寒いしで震えた葭之池温泉も忘れられない……!(笑)

そしてなんといっても富士山。どの場所を歩いていてもそびえ立つ存在感に、つい見とれてしまう。
印象に残っている場面がある。海外の観光客たちが富士山を撮影しようと車道の真ん中に立ち止まっており、車が通れなくなっていた。その人たちに注意しようと近づくと、車の窓が開いておばさまが顔を出した。あ、怒るのかなと思ったら「今日も綺麗に見えてるわねぇ」と穏やかに話しかけ、外国人たちも歩道にすっと戻った。
観光と生活が共存するのって難しい部分もあるんじゃないかと想像していたから、地元の方の寛容さに少し驚いたのと同時に心打たれた。どんと構える富士山にいつも見守られているからなのかな。
そして私は、異なるものが共存している心地よさが好きなのだとあらためて実感した旅だった。


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