記憶に残るホテルや、旅先での体験、お土産、忘れられない味などなど・・・。旅にまつわるさまざまな思い出をほぼ毎日更新。本日は、フォトグラファーのKana Kurataによる、旅先でのエピソード。
旅とホテルのミニコラム:日常に旅の余韻とヒントを。
阿蘇の朝焼け |Kana Kurata
2025.12.05
No.084

今年の8月、友人と2泊3日の阿蘇旅行へ。
1日目は福岡観光、2日目は福岡が地元の友人Sちゃんも合流し、3人で阿蘇市の大観峰へ。大観峰の眺めも素晴らしく、明日早朝に訪れる予定の草千里もさらに楽しみになった。
Sちゃんは明日は予定があるとのことで、ここで解散し、宿へ向かった。黒川温泉にある「のし湯」は本当に素敵だった。雨が似合うしっとりとした趣きがすごく好きだった。

個室風呂がいくつもあり、屋根裏にはバーも。

翌日4時30分、アラームが鳴る。眠すぎて諦めかけたが、このために来たんだから……!と気合いを入れ直す。スパルタな自分たちに思わず笑ってしまう。暗闇の中、宿を出発し草千里まで1時間のドライブスタート。

5時20分、空が赤みを帯びてきた。
他の車にも全く遭遇しない。世界に私たちだけしかいないんじゃないかとさえ思った。

さらに車を走らせて、山道に突入すると視界が霧で真っ白に。怯えながら進む。向こうはどうか晴れていてくれ……!と願いながら進み、5時55分、放牧場に到着。


……最高すぎる。美しい朝焼けと雲海を牛たちと一緒に拝むことができた……!草千里を目指してもう少し進んでみると、車を停めて朝日を見つめる人が。
えっ……あれ……?Sちゃん?!!
なんと昨日解散したSちゃんだったのだ。せっかくここまで来たし、と思って車中泊し、朝日を見て帰ろうとしていたらしい。そんなSちゃんが珈琲を淹れてくれた。朝の光と草の匂い、珈琲の香りが肺から全身に染み渡っていった。
到着した草千里では朝ご飯タイムの馬たちに出会えた。


光も、気温も、全てがちょうどよい風景に巡り合えた時、この上ないご褒美をもらえた気分になる。
そんな風景を求めて、またどこか遠くへ行ってみたい。

Kana Kurata
フォトグラファー
1995年生まれ、愛知県出身。2021年よりフリーランスとして、広告や個人作家・店舗等の撮影を行いつつ、展示等の自主制作も行う。
黒川温泉 お宿 のし湯
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