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旅とホテルのミニコラム:ほぼ365日更新中!
石を探してどこまでも|長田果純
2025.08.31
No.035

記憶に残るホテルや、旅先での体験、お土産、忘れられない味などなど・・・。旅にまつわるさまざまな思い出をほぼ毎日更新。本日は、写真家の長田果純による、定番とは一味違う”B面の旅”について。

もともと旅行をしていても観光するという感覚がほとんどなく、その土地の生活に馴染むように過ごすことが多い。仕事をしている中で訪れる先々で新しい場所を知り、次は旅行で来てみようと決意したり、友達が住んでいるからという理由で軽率に知らない場所へと向かったりする。フットワークは軽い方ではない。ただ好奇心が一度湧いてしまうと、とにかく行ってみなければ気が済まなくなってしまうたちだ。


そんな私だが、作品の題材にしていた石について追及するあまり、石拾いをしに様々な地域へ行くようになった。以前までは旅のついでに山や海辺に立ち寄り、そこで拾った石をお土産にしていた程度だったが、順番も目的も逆になった。


石が拾える場所をあらかじめリサーチし、猛者たちの書いた書物やブログを読み漁りながらどこで石拾いしているのか片っ端から調べ尽くす。そして、地図を見ながら石拾いスポットを淡々と巡る。名所が近くにあっても通りすぎ、その土地の名物も横目にコンビニで腹ごしらえをして石拾いに集中する。石を拾うことを優先しすぎるあまり、カメラを持っていっても写真を撮らずに帰ることもある。


そんな石拾いで向かう先々には、これまでの旅では辿り着けなかったであろう景色が待っていたりする。いい石のある場所には、大抵美しい大地や自然が広がっている。目的が変われば向かう場所も変わる。こんな単純なことに気づけたのは、石の持つ引力のおかげなのかもしれない。

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長田果純
長田果純
写真家
14歳の頃から写真を撮り始め、現在は雑誌やWEB、本の装丁など様々な媒体で活動中。人の営みや生活の気配、動物、石、死に関心を寄せながら、作家としても作品制作を行う。
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