記憶に残るホテルや、旅先での体験、お土産、忘れられない味などなど・・・。旅にまつわるさまざまな思い出をほぼ毎日更新。本日は、写真家の長田果純による、旅のお供について。
旅とホテルのミニコラム:ほぼ365日更新中!
ここにいられる|長田果純
2025.09.01
No.036

知らない土地へ行くと、さまざまな情報が五感を通して入ってくる。新しいものとの対峙によって自分のちっぽけさが浮き彫りになり、外側からの刺激によって今の自分の立ち位置や自己というものを客観視することも少なくない。
もちろんそうでない人もいるが、私の場合は自分が何者でもないただひとりの人間だったということを思い知らされることが多く、そんなことを感じながら旅をしているせいか、脳がフル活動して夜に知恵熱を出したり、移動や天候などで普段よりも体調が揺らぎやすくなる。そのため、体調だけでなく心も落ち着くアイテムを常備するようになった。
まず、除菌スプレーは虫が嫌がるクスノキの精油を使用したもので、これは韓国で害虫被害が広がり注意喚起されたことがきっかけで持ち運ぶようになった。靴や洋服を除菌できるだけでなく、ハンドタオルにひと吹きして枕元に置いておくと、いつもと違う環境でもリラックスして眠ることができる。
そして、ロールオンタイプのハーブオイルは、出掛ける際に持ち歩くポーチに必ず入れておく。少し疲れたときや、PM2.5や黄砂、外気や気圧の影響で体調が優れないときに耳の後ろやこめかみに塗ると、気分がリフレッシュされて頭痛や鼻の症状も心なしか和らぐ。対策もできて精神的にも作用する、そんないつもの香りがあるのは心強い。
香りは記憶と結びつきやすいが、旅も日常の一部であることを感じながら、異なる環境下においても“どこにいても自分はここにいる”と、いつもの自分を思い出させてくれる香りは、旅のお守りとしていつもそばにいてくれる。



長田果純
写真家
14歳の頃から写真を撮り始め、現在は雑誌やWEB、本の装丁など様々な媒体で活動中。人の営みや生活の気配、動物、石、死に関心を寄せながら、作家としても作品制作を行う。
非日常の香りを楽しむホテル
お守りになるいつもの香りも、旅先を強く感じる香りも、旅の魅力。