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旅とホテルのミニコラム:日常に旅の余韻とヒントを。
磨き込まれた大階段|施清元
2025.08.05
No.013

記憶に残るホテルや、旅先での体験、お土産、忘れられない味などなど・・・。旅にまつわるさまざまな思い出をほぼ毎日更新。本日は、Sleepy Tofu 日本事業責任者の施清元による、記憶に残る宿について。

昨年、ホテルニューグランド本館に宿泊した。新館の高層階とオーシャンビューが人気だが、本館は手頃な価格で泊まれる。テレビやバスタブなどの設備は予約サイトで大々的にアピールできるものではなく、フロントが新館にあるのも不便だが、築百年近い大階段を上ると、空気に漂う優雅さは言葉では表現できない。二階のロビーで長い間ぼんやりとしていた。

部屋に入り窓を開けると海が見え、山下公園も目の前に広がっている。静寂な一夜を過ごした翌朝、早朝の散歩を終えて戻ると、白髪の女性がすでに大階段の石製手すりを磨いていた。その手すりは、まるでニス塗りのように光っている。


かつてナポリタンやドリアなどを先駆者として提供してきたこのホテルが、ネットの流行に埋もれまいとする努力を、今も静かに続けているのだろう。重厚な年月の積み重ねの下で、彼ら自身のスタイルで。

朝食は新館で頂いたが、なかなか良かった

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施清元
施清元
Sleepy Tofu 日本事業責任者
医学部卒業後、一枚のCDジャケットに魅せられ、デザインの道へ。現在は寝具ブランド「Sleepy Tofu」の日本事業責任者を務める。出張の合間には各地の居酒屋巡りを楽しみ、老舗居酒屋の著書がある。
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金井塚悠生
株式会社水星 経営企画室
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