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旅とホテルのミニコラム:ほぼ365日更新中!
静かな国に帰る|山田貴仁
2025.09.03
No.038

記憶に残るホテルや、旅先での体験、お土産、忘れられない味などなど・・・。旅にまつわるさまざまな思い出をほぼ毎日更新。本日は、建築家でstudio anettai代表の山田貴仁による、“B面の旅”について。

ベトナムに住み、周辺国を旅してまわる僕にとって、年に2〜3回の日本への一時帰国こそがB面の旅だ。東南アジアの空港に降り立った多くの人は、このむせ返る匂いや街のさわがしさに圧倒されるという。けれど僕にはむしろ、日本に降り立った瞬間の“無臭”と“無音”のほうがよっぽど強烈な異国体験に感じられる。だからこそ、残る視覚や味覚ーー四季折々の色鮮やかな景色や世界イチおいしい日本料理が、より一層深く染み入るような気がするのだ。


旅の醍醐味は、知らない場所に行くことだけではなくて、自分の今いる場所を違う視点で見直せることでもあると思う。日本に帰ると、ベトナムの濃密でエネルギッシュな空気のことを思い出す。その熱や勢いが、自分の暮らす場所にどれだけ活気を与えているか、あらためて感じられる。当たり前になっていた日常の魅力に気づける――それだけでも、このB面の旅は価値がある。

筆者の住むベトナム。魚群のようなバイクの風景がアパートの窓下に広がる、日常の風景。

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山田貴仁
山田貴仁
studio anettai代表
ベトナム・ホーチミンにて2019年にstudio anettai設立。主な作品に、〈House in Ba Ria Vung Tau〉など。建築設計のほか、建築3Dパース、アーバンリサーチやプロダクトデザインなど、建築設計領域に留まらずに活動中。
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